第12回JGS宝石シンポジウム in 大阪

第12回JGS宝石シンポジウムin大阪では、『合成ダイヤモンドの最新情報と看破の手引き』をテーマに取り上げました。

第12回JGS宝石シンポジウム in 大阪 ご報告

会場:
住友クラブ
〒550-0002 大阪市西区江戸堀1-13-10 成泉ビルディング3階
Tel: 06-6443-1986
(地下鉄四ツ橋線「肥後橋」駅下車2号・5A号出口よりすぐ)
日程:
2017年01月18日(金) 12時30分開場 13時開始
 
 
 
 毎年恒例となったjeweller’s study club協賛の大阪シンポジウムが1月18日「住友クラブ」にて、中央宝石研究所リサーチルーム部長の北脇裕士博士を講師にお迎えし、『合成ダイヤモンドの最新情報と看破の手引き』のテーマで29名の参加をもって開催された。



昨年、日本国内においてダイヤモンドジュエリーにメレサイズのHPHT合成ダイヤモンドが混入するという事例が見られるようになった現状をふまえ、そのほとんどが中国製のHPHT合成であることもあり、北脇博士の中国合成ダイヤモンド工場視察のレポートから講義がはじめられた。
 
吉林省長春の吉林大学では、10万人にもおよぶ教授と学生を擁し、超硬材料国家重点実験室で国家プロジェクトとして合成ダイヤモンドの研究開発に取り組んでいる。現在、河南省鄭州の工場では大量の宝飾用合成ダイヤモンドが生産されている事実に先ず衝撃を受けた。当初工業用の合成ダイヤモンドの生産をしていたのが、それより高値で売れる宝飾用の生産に切り替って行き、値崩れする位大量に生産されている。


宝飾用の合成ダイヤモンドが市場に出回ることによって起こるであろう宝飾業界内の混乱について北脇博士が生産者に意見を求めたところ、自分達には全く関心がないという回答であったことが、これから合成ダイヤモンドの市場への流出がさらに進むことを予感させられた。


また講義では、ダイヤモンドのタイプ別(Ⅰ,Ⅱ)の特性の確認とそれぞれの合成の場合の特徴を整理し、それらの合成のプロセスに基づく現在の判別方法が解説された。


そして観察の時間では、42セットのカラーダイヤモンドを主とした天然、処理石、合成石のサンプルを手にして観た。衝撃の内容の講義の後であるので、実際には不可能ではあるのだが、合成ダイヤモンドをこれまで以上に関心を持って観ているような会場内の空気を感じた。
標本石のリストは、ここをクリックしてPDFでご覧ください。


シンポジウムの締め括りの参加者の発表では、信頼できる仕入先や信頼できる鑑別機関の重要性が多く出てきた。消費者にダイヤモンドを販売する上での責任の所在を改めて考える機会となったのであるが、販売者として自分自身が責任を取る覚悟を持って臨むことが、この問題の解決方法へ導かれる指針となるのではないだろうか。
参加者の声
アンケート(回答数24)の中から、Q1.「一番印象に残った点」を記載させていただきます。
  1. たくさんの石が見られた。(9)
  2. 「中国」合成ダイヤの現状と今後の動向を教えていただけたこと(5)
  3. 同じ宝飾品業界でも業態の違う方々の意見を聞くことができたこと
  4. 合成ダイヤモンドの流通の現状を把握、理解できた。(7)
  5. 他の会社の見解が聞けたので、それらを参考にしたい。
  6. 講義がとても判りやすかった。(2)
  7. ダイヤモンドの怖さを改めて確認した。
  8. 毎回、宝石業界の最新ニュースに接することが大変うれしく、感謝している。(2)
  9. 初めて参加したが、説明が解りやすかった。
  10. 今後の大量化する合成ダイヤモンドにどう向き合うかを考える機会となった。
  11. (豊富な標本石のお蔭で)ダイヤモンドの世界の全体像がつかめた。
  12. 最初は実物の比較がほとんどわからなかったが、最後はなんとなくわかるような感じが持てたことが大きな収穫だった。
  13. I型、Ⅱ型の区分けが明確で分かりやすかった。
 
 

標本石を提供いただいた協力社及び会員各社:
(株)アンブローズ&カンパニー、日独宝石研究所、(株)プリンセス
ご協力、ありがとうございました。