JGS宝石勉強会

こちらでは、JGS宝石勉強会 テーマN(午後の部)のご報告をさせていただいております。

「JGS宝石勉強会」についての概要はこちらにてご覧ください。

JGS宝石勉強会 テーマN(午後の部)

※写真はすべて、クリックしていただくと別ウィンドウで拡大表示されます。

 コランダムの中でも唯一 色名で呼ばれないサファイアがパパラチヤサファイアです。(他に赤色のコランダムにルビーがあります)
 スリランカ語で蓮の花を意味するパパラチヤサファイアはピンクとオレンジの混じりあった可憐な美しさで人びとを魅了してきました。 120年程前 ブルーサファイアの産出が盛んだったスリランカで発見された時には何の石かは判らずサファイアとの鑑定結果に村人達には衝撃が走ったそうです。
 日ごろ深い信仰心あるスリランカの人びとには 神さまからさずかった宝石としてその後も大切に扱われてきました。またパパラチヤサファイアは4月8日《お釈迦様のお誕生日》御守石としても人気があるようです。

会 場:
オーラムビル(B1)
日 程:
2017(H.29)年7月25日(火)・26日(水)・27日(木) …3回
14:00〜15:00
テーマ:
N(午後の部)  「パパラチア」
仕入れに活かせる知識・情報…色の範囲、明度・彩度と加熱非加熱
解 説:
有限会社ワイティーストーン 佃裕二氏(JGS理事)
進 行:
14:00
開会の挨拶
 
14:05~
観察の要点を解説・実験
 
14:30~
観察
 
適 宜
質疑応答・ディスカッション
 
14:55〜
閉会の挨拶   【アンケート記入】後、解散
 
 
 
 
 産出量はブルーサファイアが数万個に対し数石採取できるかのレアーストーンとして またたく間に世界からの注目を集めてきましたが産出はほとんどありませんでした。
 今から20年程前にアフリカのマダガスカル島で新たなファンシーカラーサファイアの鉱山が発見され少量のパパラチヤが現在でもスリランカとタイに供給されています。(1ct以上がスリランカで 小粒の原石がタイにて見かけられます。)
  
 パパラチヤサファイアはその美しい色 輝きがいのちです。しかし市場で取り引きされるにはやはり鑑別書が求められるケースが多く、色で判断されるパパラチヤは世界基準であるLMHCでのマスターカラーストーンと比較され判断されます。しかし人によって作られた色と自然界で形成された宝石を見比べてもなかなかサンプルカラー基準に近いものを仕入れる事は難しいものがあります。
 採掘されたもののほとんどがボーダー と言った感じでしょうか?
 
 国によっては紫外線により大きく地色が変化します、朝 昼 夕陽によっても時間帯によっては1つの石から褐色からオレンジまで変化して発色します。また鑑別士によってはピンク寄り、オレンジ寄りの見方もあり鑑別機関によって誤差もあるでしょう。
 パパラチヤサファイアの鑑別には他の宝石には無い熱を加える退色検査が必要とされます。紫外線によりオレンジ身を帯びた石(特に非加熱パパラチヤ)は熱を加えることによってピンクへと変わってしまうことがあります。
 仕入れた時と持ち帰ってみた時に全く異なった色をしていた、と言った話は実はめずらしくはありません。
 
(標本石)パパラの色範囲(左) と パパラ落ち(右)

 
退色前と退色後。実験ではハロゲンランプを40分照射。
  
資料(写真3枚)01

資料その2 ・ 資料その3 (いずれもPDF)

 最後になりますが、これだけの量の《神秘の宝石 パパラチヤサファイア》を日本国内で一度に観られる事はほとんどありません。私共日本宝石協会ではこのような機会をこれからも企画してまいりますのでお見逃しのなくご参加くださいます事を願っております。

ご協力いただいた企業:有限会社ワイティーストーン(JGS会員)

JGS会員 Aさんによるレポート(PDF)

参加者から頂いたアンケート回答(PDF)

ご協力に感謝いたします。誠にありがとうございました。

JGSでは、今後も様々なテーマで宝石シンポジウムや宝石勉強会を開催いたします。皆様のご参加をお待ちいたしております。