第10回JGS宝石シンポジウム in 大阪
第10回JGS宝石シンポジウムin大阪では、A.中宝研・北脇博士による『コランダム処理の科学的説明』、B.当協会理事・森孝仁氏による『ミャンマー産ルビーのインクルージョンの特徴と加熱処理による熱変化について』をテーマに取り上げました。
第10回JGS宝石シンポジウム in 大阪 ご報告
会場:
住友クラブ
〒550-0002 大阪市西区江戸堀1-13-10 成泉ビルディング3階
Tel: 06-6443-1986
(地下鉄四ツ橋線「肥後橋」駅下車2号・5A号出口よりすぐ)
〒550-0002 大阪市西区江戸堀1-13-10 成泉ビルディング3階
Tel: 06-6443-1986
(地下鉄四ツ橋線「肥後橋」駅下車2号・5A号出口よりすぐ)
日程:
2016年01月15日(金) 12時30分開場 13時開始
第一部:
- 中央宝石研究所、北脇裕士博士による「コランダムの処理の最新情報」
- 株式会社モリス代表取締役社長の森孝仁氏による「ミャンマー産ルビーのインクルー
ジョンの特徴と加熱処理による熱変化について~処理の有無を見分ける方法」
北脇裕士博士
「コランダムの処理の最新情報」では、コランダム処理の方法である、加熱・拡散・充填・鉛ガラス含浸と、それぞれの使用する原材・目的・プロセス・変化のメカニズム・恒久性・容認度と、講義の内容は体系的に順を追って進められました。
森孝仁氏
「ミャンマー産ルビーのインクルージョンの特徴と加熱処理による熱変化~処理の有無を見分ける方法」の講義では、ミャンマーの各鉱山の特徴的なインクルージョンとその加熱処理後の変化を画像で解説されました。(森氏はこれまでの45,000に及ぶインクルージョンのサンプル画像を所有)
含有成分を分析する、紫外可視分光分析や赤外分光分析(FTIR)は特別な設備を要するが、拡大検査によるインクルージョンの特徴に精通することがやはり我々の有効なツールとなります。
含有成分を分析する、紫外可視分光分析や赤外分光分析(FTIR)は特別な設備を要するが、拡大検査によるインクルージョンの特徴に精通することがやはり我々の有効なツールとなります。
第二部:16台の顕微鏡で観察
- 過熱・非加熱のルビーのインクルージョンの観察
- 30セット(約100石)のサファイア・ルビーのサンプルの観察
北脇博士と森氏が丁寧に説明・指導しながら、無処理のものから加熱・ベリリウム拡散・鉛ガラス含浸など、貴重なサンプルに触れることのできたとても有意義な時間となりました。
知識として持っている宝石の特徴やインクルージョンなど、写真や画像で見ることはできますが、実物が自分の目にはどのように見えるのか、そしてそれを見つけ出すことが容易でないことも、経験しないと実際に使うことのできる自分のツールにはならないかもしれません。私たちはプロフェッショナルとして、継続的に宝石を観る目をブラッシュアップして行かなければならないと思いました。(藤田益久)
懇親会
参加者の声
アンケートの中から、「一番印象に残った点」を記載させていただきます。
- 鑑別に産地が重要だと教えていただいて良かったです。いつも知らなかったことがためになってうれしいです。
- 皆さんにとって初歩的なことであったと思うのですが、説明がわかりやすく初めての人間にわかりやすかったです。また、ルビーを始めコランダムを加工・非加工を含め見せていただいたことで、わずかではありますが、加工されたものがわかるように思いました。(デパートでも、これから見分けられてニヤニヤしてしまいそうです)
- 加熱したインクルージョンの特徴(白濁、色)、パパラチャの産地による色味の違い。
- 実習でたくさんのインクルージョンを見たこと。加熱処理判断は産地が特定できなければ難しい。勉強になった。
- 産地の特定が基本となること。産地特定のセミナーをしていただけたらと思いました。
- 天然と処理の変化を拡大写真で見せてもらったのが、わかりやすくて良かった。
- 拡散処理のコランダムをたくさん見ることができて勉強になりました。
- ベリリウム拡散処理の処理方法。ギウダの加熱方法。
- 天然ルビーのインクルージョンが美しかった。
- 産地によってコランダムの生成温度が違い、そのため加熱処理の温度が異なる。よって産地を知ってインクルージョン等の検査をすることが鑑別のキーとなる。
- 処理看破、拡散処理のルーペ看破が難しいと感じました。FTIRに関して詳しく聴けて良かった。
- ベリリウム処理のものを買ってから気付き、これを商品にして良いものかと悩んでいましたので、大変タイミングよく講習を聞かせていただいたことは悩みが解決して本当にありがたく感謝申し上げます。たくさんのルビー、サファイヤを見せていただいたことも、含浸処理も大変勉強になりました。本当にありがとうございました。
- 脇博士からは科学的・化学的見地に基づいたルビー、サファイヤ、処理加工、分析の講義を受け、奥の深さを知らされました。また、森氏からは現地の体験に基づいたお話で、特にミャンマー鉱山を含めた近辺の鉱山の現状を聞くことができ有意義でした。久しぶりにたくさんのルビーを顕微鏡で拝見でき勉強不足を痛感しております。
- 紫外可視分光のグラフを実際に産地や処理によって比較できたのが良かった。森さんの「宝石は個性」という言葉。
- 熱処理でも色々なパターンがあるとは知りませんでした。Be処理や鉛ガラス処理はひどい処理ですね。
- ランダム処理も複雑になっており、非加熱との区別が難しいと感じました。石もそれぞれに個性があり、仕入先との信頼が大切だと実感しました。
- コランダムの処理の方法とインクルージョンの変化。産出される場所によって加熱の時間など(酸素の量)が変わる点。その酸素の量が産地によってどう変化するかを見たかった。
- たくさんの石を実際に見て勉強できたことは、あまりできないことなので良かった。
- ルビー鉛含浸の実態がわかり、評価の参考となりました。
- ルースの数。コランダムの美しさ。
- 産地がとにかく大事ということ。加熱前と加熱後の拡大写真などを見られたこと。
標本石を提供いただいた協力社及び会員各社:
(株)アンブローズ&カンパニー、日独宝石研究所、(株)プリンセス、
(株)モリス、(有)ワイティーストーン
ご協力、ありがとうございました。