JGS宝石勉強会

こちらでは、JGS宝石勉強会 テーマBのご報告をさせていただいております。

「JGS宝石勉強会」についての概要はこちらにてご覧ください。

JGS宝石勉強会 テーマB ご報告

※写真はすべて、クリックしていただくと別ウィンドウで拡大表示されます。

 JGS宝石勉強会の第2弾は、東京都品川区の翡翠原石館を訪ねて、靎見(つるみ)信行館長の案内で館内を見学、新潟県糸魚川産の巨大な翡翠原石をはじめ、数々のコレクションについて館長直々に解説していただき、入手経緯から謂れまで、普段は聞くことの出来ない貴重なお話や経験談を伺いました。
 靎見館長は翡翠愛好家であるばかりでなく、その他のカラーストーンについても造詣が深く、海外の展示会や採掘現場を度々訪れ、宝石愛好家の視点で珍しい宝石を蒐集されるなど、現地で入手した情報も豊富で、その経験談は極めて興味深い内容でした。
 今回も密度の高い内容で研修やディスカッションを行うため、定員を15名に限定して1回限りの開催を予定していましたが、定員を大幅に上回る申込みがあったため、10月9日と10月16日にも追加開催することになり、我々日本人にとって、翡翠は関心の高いテーマであることを窺わせました。
 後半はシャンパンの乾杯に始まり、食事をしながらさらに話しは盛り上がり、館内は和やかな雰囲気に包まれました。 ここでは9月25日(水)に開催された1回目の模様をご紹介します。

会場:
翡翠原石館(東京都品川区北品川4-5-12)
日程:
2013年9月25日(水) 18:00〜20:30
進行:
テーマB 翡翠 原石とカボション
1.
17:50~18:00
自己紹介(参加:14名)
2.
18:00~18:05
テーマの主旨と実験の進め方の説明(JGS役員)
3.
18:05~19:15
ヒスイの原石に触れる
(靎見館長の案内で館内の見学)
4.
19:15~20:20
靎見館長のお話し
 (1) ヒスイの品質と価値の判断
 (2) クイズ:一番価格の高い翡翠の指輪はどれか?
 (3) 食事をしながら情報交換とディスカッション
5.
20:20~21:00
コメントの発表
6.
21:00
閉会
開会:
当日は生憎の雨模様でしたが、開会時間前に参加者が揃うと、自然と自己紹介と名刺交換が行われ、司会進行役の諏訪監事の挨拶もそこそこに、早くも靎見館長の案内で館内の見学が始まりました。
 館内見学

右から3番目、青のシャツに緑のネク
タイ姿の靎見館長
『翡翠は比重が大きいので、通常は地表に現れることは少ないのですが、災害が起こったりした際に地表に露出して発見されることがあります。』

『翡翠は蓄熱効果があるので、手に持っているだけで高温になり、逆に冷やすと氷のように冷たくなるので、通常なら数時間で腐ってしまう食べ物でも、翡翠で作った容器に入れておくと数日間腐らないことがあります。

翡翠モザイク壁画「奴奈川姫(ぬながわ
ひめ)」の前で熱弁を振るう靎見館長
また殺菌作用もあるので、神聖な力を宿していたとされる証でしょう。X線や磁力が目に見えなくてもその力が存在しているように、翡翠には科学的には解明されていなくても、目に見えない不思議な力が存在しています。 』
 

壁に掛けられた額縁の上で休む
モリアオガエル
『館内にモリアオガエルのオスとメス、カジカガエルがいます。カジカガエルは綺麗な声で鳴きます。』
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靎見館長は蛙の飼育や繁殖にも熱心で、蛙達は館内を自由に徘徊?しているそうです。
 


床や壁も含めて総翡翠作りのお風呂!
圧巻なのは糸魚川産翡翠10トンのくりぬき風呂です。このお風呂に浸かるとまるで母親の胎内にいるかのような心地良い感覚になれるそうです。
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『翡翠のお風呂に入ると、風呂のお湯と体内の水分とが一体となって消滅して、精神だけが浮遊しているかのような錯覚を抱きます。浴槽が冷たいので、78度の熱湯を注いで湯船を満たすと、翡翠の蓄熱効果によって冷めにくくなり、特に赤ちゃんを入れると気持ち良さそうに喜びます。』
 

美しい品々を食い入るように見つめる参加者の皆さん

館内のショップでは翡翠の他にも珍しい品々や美しい宝石類が展示販売されています。
靎見館長の
お話し:

様々な資料を用いて解説される靎見館長
一通り見学を終えて、次は靎見館長を囲んでお話しを伺います。
 
ここでクイズです。3個の微妙に色見が異なる翡翠の指輪を並べて、どれが一番高いのかを当てるクイズです。ライトを当てたり、ルーペで観察したり、順番に観察して答えを出し合います。

どれが一番高い翡翠の指輪でしょうか?
答えは一番左の指輪で、その値段は他の2つを合わせたものよりも高いとか。正解者はわずか5名でしたが、参加者の皆さんの真剣な眼差しが印象的でした。
 意見交換:
食事の前に、ここまでで一番印象に残ったことを一言ずつ発言しました。
  1. 日本産の翡翠がこんなに素晴らしいとは思わなかった。良い経験をさせてもらった。
  2. 価値や品質の判断は難しい。全く分からなかった。
  3. 靎見館長の宝石に対する熱意に感動した。
  4. 素晴らしいコレクションを見られて良かった。
  5. これまで翡翠にあまり関心がなかったが、翡翠の素晴らしさを再発見した。
  6. これだけの素晴らしい翡翠を目にしたのは、平成16年に科学博物館で催された翡翠展以来である。
  7. もっと宝石の勉強をしなければならないと認識した。

お酒が入ると口も滑らかになって話しが弾みます。
諏訪監事の音頭で乾杯の後、食事をしながら歓談が続きます。靎見館長が新潟の幻の酒「奴奈姫(ぬなひめ)」を翡翠の杯に注いで振舞ってくださいました。翡翠で作った杯で飲む酒は格別です。話題は翡翠ばかりではなく、ルビーやサファイヤへも広がっていきます。
 閉会:
閉会の時間となり、参加者の皆さんにもう一言ずつコメントをいただきました。
  1. 短時間では見切れないほどの素晴らしいコレクションだったのでまた訪れたい。
  2. 普段は展示されていないものまで多くのコレクションを見せていただき感動した。
  3. ますます翡翠に対する興味がわいてきた。
  4. 宝石に出会えて良かった。もっと宝石のことを学んで、自分なりのコレクションを残したいと思った。
  5. これだけのコレクションを蒐集することは自分には不可能だが、夢だけは持てたので、夢を持ち続けていきたいと思えたことが良かった。
  6. 好きで宝石の商売を始めたが、素晴らしいコレクションを見せていただき、興味深いお話しを伺って、やはり好きなことをやって良かったと思えた。また参加したい。
  7. 普段は聞くことの出来ない話しを聞かせていただいたので、参加して良かった。また機会があったら参加したい。
  8. 綺麗なものは、やはり綺麗なのだと改めて認識した。靎見館長には翡翠のお風呂に入って是非長生きしてもらいたい。
  9. 短時間で素晴らしいコレクションを見せていただき良かった。また、業界の先輩方の貴重な話を聞くチャンスにもなったので、また参加したい。
最後に伊藤理事長が挨拶を行いました。
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『靎見館長、本日は多くの貴重な石を見せていただきありがとうございました。また、秘書の松田さんにもお世話になり、ありがとうございます。
宝石の原産地から最終消費者までの流通経路が明らかにされて、その都度正しい情報が開示されるようになれば、最終消費者に正しい情報を提供することが出来るようになります。さらに、合成石の混入や処理の有無で苦労することがなくなるとともに、透明性が確保されることで宝石産業も消費者から信頼されるようになるでしょう。
これからも靎見館長には様々なことを教えていただき、また業界の皆様にもご協力いただきながら、宝石業界が正しい方向に向かえるように我々日本宝石協会も貢献していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
本日は本当にありがとうございました。』

閉会の時間も忘れて話しが盛り上がる会場
記念撮影:
最後に全員で記念撮影、楽しい3時間でした。

靎見館長も参加者の皆さんも、まだまだ話が尽きない様子でしたが、閉会時間を大幅に超えてしまったため、午後9時にお開きになりました。 翡翠原石館の靎見館長と秘書の松田様には大変お世話になりがとうございました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

JGSでは、今後も様々なテーマで宝石シンポジウムや宝石勉強会を開催いたしますので、皆様のご参加をお待ちいたしております。