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宝石産業論『宝石を求めて』
令和8年9月7日
『宝石との出会い』
昭和51年(1976年)に大学を卒業、貿易実務を覚えようと思い就職した会社がたまたま宝石・宝飾品の輸入、百貨店等への卸をしていました。 百貨店外商との外販活動を通して、石の原価・製品製造原価・デザイン・加工見積・接客術とその流通過程を学ぶことが出来ました。当時のトップセ-ルスは、休暇は1年で2日だけで、その会社の年商30億円の半分、15億円を1人で売上げられていました。
15ヶ月間をその会社で勤めた後、独立。最初に訪れたのはスイスのバーゼル・フェアでした。そしてスリランカとビルマの国営オークションで、ルビー・サファイヤ・ヒスイ・南洋真珠を購入しました。続いて香港、ブラジル、オーストラリア、イスラエル、タイ等より研磨済色石の輸入を始めました。
1971年には羽田空港・浜松町にある保税上屋にて商品の検品ができるようになり、オーストラリア・ブラジル・コロンビア等の原産国より日本市場へ直接の売り込みが始まりました。当時は輸入関税としてダイヤ・色石共に5%が掛けられており、最終小売り段階で販売価格15,000円超に対して20%の物品税が掛けられていました。1973年に始まった宝石の輸入自由化の流れは、1983年にダイヤの輸入関税が、1986年には色石の輸入関税が撤廃されるに至りました。そして1989年の物品税廃止、消費税の導入により、原産国業者による国内への研磨済色石の持ち込み販売が始まりました。この頃から、弊社も含め国内の裸石輸入卸業者の生き残る道が模索され始めました。川上へ向かうのか、製品製造に転換してゆくのか?品質追求なのか、価格と量販を重視するのか? また、製品製造業者にしても、ここのところの5年から10年の間に香港・タイはもとより、中国・インドとの価格競争、高級品市場においては欧米のスーパー・ブランドのシェア拡大に直面し、生き残りを模索されている状況でした。
このような状況の中、私は川上へ向かおうと決断しました。海外からの商品持ち込み業者と互角に戦う為には、原産国でより鉱山に近いところから、また研磨加工地で商品を購入すべきと考えたからです。そして、私が訪問した国と鉱山は56ヶ国、45ヶ所の鉱山で、1985年以来、資本参加した鉱山開発は11件を数えます。これら経験から実感したことは『美しい宝石は希少である』ことです。
『宝石産業、どの分野に焦点を合わせるのか?』
弊社はColored Gemstone(貴石・半貴石等色石)の鉱山開発から原石研磨、研磨済裸石の輸出入卸をメインビジネスとしておりますが、社員募集に応募されたCGJ・FGA資格取得者、GIA・GGの方々に『当社では何をしたいですか?』と面接時にお尋ねすると、9割の方が『仕入れを担当したい』とおっしゃいます。
会社に利益をもたらす仕入れをする為には、まず、宝石産業の構造と、自分の位置しているところを知らねばなりません。その上で、顧客の客先情報をも含んだ顧客ニーズ、仕入先、製品製造過程とその原価試算を知っていなければ、実際に売れる仕入れは出来ません。
日本では宝石産業に従事している人は、一般に小売業であろうと、製造業であろうと、十把一絡げで宝石屋さんと言われています。 しかし、英語では細かく区分されています。
1. Miner(鉱山採掘業者)
2. Rough Dealer(原石販売業者)
3. Cutter(研磨業者)
4. Stone Dealer(裸石販売業者)
5. Importer & Exporter(裸石及び製品輸入、輸出業者)
6. Jewelry Manufacturer(製品製造業者)
7. Jewelry wholesaler(製品卸売業者)
8. Retailer(小売業者)
ここまでが宝石屋さんと称される分野ですが、この他に
9. Laboratory(鑑別・鑑定業者)
10. Equipment(研磨・製造機材、光学機器取扱業者)
11. Customs Forwarder(Brinks, JTC, Malca-Amit 等宝石専門運送業者)
を含めて、宝石産業従事者と言えると思います。
私達がこの業界の構造を知り、自分はどの分野で活躍しようとしているのかを明確に自覚し正しい選択をしてゆくことが、これからの活躍、飛躍にとってとても大事なことと思います。まずは、己を知る、自覚することですね!
一般社団法人 日本宝石協会 前理事長
有限会社 伊藤商事 代表取締役
伊藤 彰
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