JGS Newsletter

令和3年/2021年 3月8日発行

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一般社団法人 日本宝石協会

JGSは、宝石の正しい知識と情報を社会に広く提供することにより宝石の素晴らしさを発信し、宝石のより良い事業環境を創造し、宝石の信頼向上を実現していくこと」を目標として活動しております。

2021(令和3)年 3 月:
JGS宝石勉強会 @Zoom Webinar のご案内

2021(令和3)年 3 月 18日(木)14:00 〜 15:30

◇テーマ: 『特許・実用新案、意匠、商標の国際化』

ジュエリーデザイナーは、次々と新しいデザインを考えていかなくてはなりません。 季節に合わせた素材やデザイン、そしてファッションの流行や世間の動向を考えながら、アイデアを膨らませていきます。次次から次へとアイデアが思い浮かぶという人はまれで、多くの人は良いアイデアが思い浮かばない、デザインを提案してもボツが続いてしまうという生みの苦しみを味わいます。

  • 「私のデザインとソックリな製品が出回っている・・・どうにかできないの?」 『意匠登録はしたのですか?』 「いいえ」 『それでは仕方ないですね・・・』
  • ゴールドシーンサファイアって一般名称ではないのですか?」 『そうだと思いますが』 「しかしその店では、《販売する際には、ネット販売・対面販売を問わず、『ゴールドシーンサファイア公式マーク』の掲示が必須事項》となっています」
  • ある時計店が店名を「エル***」にすると弁護士事務所から内容証明付き郵便が送られてきて、  使用の差し止め請求をされた。
  • あるメーカーが「売れてます」という商品は C***のデザイン。なのにそのメーカーは「よく売れますよ!」と平気な顔でいう。

ジュエリーや作品を制作する人にとっても、また販売する人にとっても、重要な課題の「知的財産権」には、大きく分けて、特許権・実用新案権・意匠権・商標権の4つがあります。知的財産権の知識を少しでも持つことが、自分のアイデアの価値を高め、店を守ることに繋がります。

質疑応答の時間も設けております。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

◇講師:

辻本 希世士 氏 :弁護士・弁理士・ニューヨーク州弁護士
辻本法律事務所 http://www.tm-pat-law.com/

◇アドバイザー:

山崎 藍子 氏 :宝飾デザイナー
有限会社ルネッサンス・ジェム http://www.renaissance-gem.jp/

◇定 員: 80名
◇参加費: 無料(登録制)
◇参加方法:こちら(click!)のフォームから登録していただきます(先着順)






Topics

まさに 札付きの(値がふめる)男?!

 

イヤ本当にインプラントできるんだ!
額にピンクダイヤモンド! ▶

Consequence of Sound 

まさに 史上最高の化石!?


エメラルドになったカタツムリ!
絶対に見たい!

Geology In

まさに お告げ?!

 

発見した漁師は、白髭の老人に「海岸に行け。賜りものがある…。」と告げられたそうです。

7.8グラムのメロ・パール。

Geology In 

まさに 天からの贈り物。


隕石がクリスティーズでオークションにかけられています。

どなたか隕石お持ちですか?

CHRISTIE'S



REPORTS


2021年1月18日開催
JGS宝石勉強会@ZoomWebinar
「色石の呼称について」

レポートのご協力、誠にありがとうございました。

清水 峰子 様(クラリタ / jsc会員) 

新城 靖 様(ジーロンド / jsc会員) 

CGL通信

中央宝石研究所(CGL)発行の宝石業界誌「CGL通信」は下のリンクから最新号をお読みいただけます。

CGL通信 



SPECIAL REPORT from
Rui Galopim de Carvalho

ポルトガル宝石学会 創設者
Gem-A Journal of Gemology, Associate Editor.
CIBJO Sector A & Coral Commission, Vice President.
ICA, Ambassador and Communication Committee.
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ルイは昨年はCIBJOのウェビナーの共同ホストとして活躍をしたので、一躍業界内で有名になりました。 宝石学に関する知識だけでなく、地質学的知見や世界史的知見から宝石とジュエリーの魅力を紐解く情熱には感動します。 明るい人柄は世界中の仲間から人気を得ています。 フェイスブックやリンクトインでフォローをお勧めします。 素晴らしい情報提供者です。


より

原 文

Pigeon’s Blood: Explaining the Term

This colour descriptor, from the Burmese "kho thwe", was used for the pure red of the finest local rubies in Mogok.

First recorded in English in late-1830s, it was not used by most laboratories until recently and it can be seen in reports despite the lack of standardization in its definition, let alone the lack of agreement in its use itself.

It tends to be based on clear criteria, e.g. red with no overtones, saturation and intensity, fluorescence and brilliance, all according to strict observation protocols (e.g. comparison with a master set).

“Pigeon’s blood” rubies have been historically reported in Mogok, Myanmar, but also in Vietnam, Tanzania, Mozambique, Tajikistan and Kenya, meaning that the term is not exclusive of Burmese rubies.

Its use is, therefore, debatable in the trade as it lacks in consistency, harmonisation and standardisation for it is a trade name and not a gemmological term, and some consider it may be prejudicial to consumer confidence although it is recognised that it helps romancing the stone.

In the photos, the Graff Ruby, at 8.62 ct from Mogok, aquired by Graff as set on a Bulgari ring in 2006 for ca $3.6M at Christie's and later, in 2014, bought back by Graff at Sotheby's for $8.6M million.

和 訳

ピジョンブラッド:用語の説明

ビルマ語の "kho thwe "に由来するこの色の呼称は、モゴックの最高級ルビーの純赤に使用されていました。

1830年代後半に初めて英語での記載が確認されたものの、最近までほとんどのラボでは使用されていませんでした。しかしその定義が標準化されていないにもかかわらず、それどころか、その使用自体に合意もないままレポートに書かれているのを目にするようになっています。

彩度と色味が強いトーンが整った赤色に、蛍光性と輝き(テリ)が伴っていること等、すべてが厳密な手順で観察(マスターセットとの比較など)された結果、明確な条件に基づいて呼称される傾向があります。

ピジョンブラッドルビーは歴史的にミャンマーのモゴックだけでなく、ベトナム、タンザニア、モザンビーク、タジキスタン、ケニアでも報告されており、この呼称はビルマのルビーだけのものではありません。

そのため、この呼称の使用については、これはトレードネームであり宝石学用語ではないことから整合性、一貫性、標準化が欠けているため、業界では議論の余地があるとされています。また、宝石へのロマンを掻き立てるものではあるが、消費者からの信頼をそこねる可能性を含むとも考えられます。

写真に写っているのは、モゴック産の8.62カラットのGraffルビーで、2006年にブルガリのリングにセットされていたものをクリスティーズで約360万ドルで入手し、その後、2014年にサザビーズで860万ドルで買い戻されたものです。


ミャンマーでのルビーの色の呼称については、Kho thew(コーテゥエ)と Yon thwe(ヨンテゥエ)と二つの呼び方があります。

両方ともピジョンブラットの意味ですが、Kho thwe はハートの血(赤と青がやや強い)色のこと Namya産が多く、Yon thwe は、ウサギの血(赤と黄色またはオレンジが強い)色の事、Mogok産が多い、と分けている。現地では、そう理解しています。

どちらが良いかという問題ではなく、特徴です。

グベリンやSSEFのピジョンブラッドは、Yon thweに近いと思います。

ピジョンブラッド、コーンフラワーなどのトレードネームはあくまでもトレードネームであり、一般消費者に対して、業界基準として品質を表すものではないと業界内で認識するべきでしょう。 つまり、業界内であらためて「トレードネームは経験と知識を備えた業者間の取引に用いられる専門用語であり、一般消費者に対して品質を保証する表現もしくは用語ではない。」などと明言しても誰も不利益を被らないのではないでしょうか?

JGSメンバーは、消費者が美しい宝石・唯一の宝石へ抱くロマンスに付け込むファンシーな言葉を操るファニーな宝石商を排出しないようにお互いを注意喚起する努力をしましょう。 やっぱりJGSはプロの集まりですね!森さんの知識は現地知識・現場知識ですね!手元のルビーに想いを馳せながら見つめてみましょう。

※いずれの記事や「レポート」もそのデータを許可なくご使用になることは固くお断りいたします。


オ ス ス メ

JGS宝石勉強会@Zoom Meeting/Webinar のビデオを YouTube で

これまでに開催した JGS勉強会/シンポジウム@ZoomMeeting・Webinar をYouTubeで 限定公開 しております。

  1. 2020年6月18日『CVDダイヤモンドを深く知る』
  2. 2020年7月13日『コランダムのベリリウム拡散加熱処理の現状とその鑑別』
  3. 2020年9月24日『宝石の最新情報と原産地情報』
  4. 2020年11月11日『宝石の魅力を考える』
  5. 2021年1月18日『色石の呼称について /Panel Discussion』

特設 -お申し込みフォーム- よりお申し込みくださったJGS会員/賛助会員だけにご希望の動画を48時間視聴できる YouTube-URL(アドレス)をメールで通知します。
※ JGS会員/賛助会員への48時間の限定公開です。ゲットされた動画URLの、他の方への無断転送は固くお断りいたします。
※ 必ず「ご利用規約」をお読みくださり、内容に同意いただいた上でお申し込みください。

-お申し込みフォーム-  

お断り:
JGS勉強会/シンポジウム@ZoomMeeting・Webinar 録画視聴権はJGS会員の権利であり、当日参加できなかった会員はもとより、会員への情報提供サービスの一環でございます。上でご案内している YouTube動画視聴を希望される方は是非この機会にJGSにご入会ください。



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事業主の会員様へ

JGS会員、株式会社ライム商会 夢仕立工房 依田宇弘様より、貴重な情報をいただきました。

厚生労働省による「人材開発支援助成金」(特定訓練コース・一般訓練コース)とは、雇用する労働者のキャリア形成を効果的に促進するため、職務に関連した専門的な知識及び技能の普及に対して助成する制度です。諸条件を満たせば、Gem-A宝石学、ファンデーションコース・ディプロマコース受講料が実質30〜45%OFFになります。

関心がおありの方:JGS事務局までご連絡ください。



Features of the Month


※詳細はそれぞれのサムネール画像をクリックしてご覧ください。

今月の本棚

「天然石がわかる本」
「天然石がわかる本」下巻


著者:飯田孝一
定価:3,200円+税
大型本 : 109ページ

今月の名言格言

エイブラハム・リンカーン
1809年 〜 1865年


I walk slowly, but I never walk backward.

今月の写真

クラム


撮影・文:渥美 郁男 氏
株式会社宝石科学アカデミー(JGS会員)

※詳細はそれぞれのサムネール画像をクリックしてご覧ください。

編 集 後 記 

親愛なるJGS会員の皆様 

首都圏の緊急事態宣言解除延長となった中、この一年を振り返りながら新年度に向けて様々な手段を再検討しなくてはなりません。 

まさに時代のトランジション・転換期の渦中。渦に呑まれずとも、生き延びて新たな市場競争で戦い続けられるか…緊急事態宣言延長は実業界に緊張感を一層強めたのではないでしょうか? 

いよいよ次の時代の幕開けとなりますが、この機会こそ我々JGSメンバーは本物の宝石商として覚悟をもって事業を展開して行く時でしょう。 

Nomenclature呼称表記・Disclosure情報開示などを今までとは一線を画して実行することが、覚悟の表し方の一つではないでしょうか。 

シンポジウムでも取り上げられ、今号のNLにも掲載させて頂いた「トレードネーム」に関して私見ですが述べさせて頂きます。 

JJAの命名法には「別に定める正しい呼称を使用しなければならない。」と記載されていますが、業界として何かしら呼称・表記に関しての指針や規範を明示したうえでないと、トレードネームの誤用の責任が販売者に帰する意見の効果が表れないと思います。 

自信を持って情報開示し、自信を持って自らの評価基準を述べ、取引先又は顧客の共感と満足を得るために血を流す覚悟で最大の努力をして行こう。 

あらためて襟を正す思いが湧く年度末、花の香りに満たされる春です。 


一般社団法人 日本宝石協会 副理事長 & 広報部長:堀内 信之

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発行元 :一般社団法人 日本宝石協会(JGS)広報部

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  一般社団法人 日本宝石協会 事務局
  Eメール:info@japangemsociety.org
  電話番号:03-5812-4785
  営業時間:10:00〜17:00(土・日・祝・年末年始を除く)
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